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ABOUT
BLOOD FARMERSは素晴らしいバンドだった。彼らの音楽はとてもシリアスで、ただいい音楽をやるというだけでなく、自分達だけの声をもっていた。彼らの音楽を聴けば、彼らが生まれてきた場所であるSAINT
VITUS,BLUE CHEERといったバンドの姿をとらえることは簡単にできる。もし彼らが単にそういったバンドへの憧れから音楽を作っていたとしたら、ここまで僕の心をとらえることはなかったはずだ。そういったバンドはは永遠であり、VITUSを聴かなくなるときなんて、想像できるだろうか?、また同時に過去でもあった。だから彼らはその上に、自分達でしかないものを積み上げた。それは確かに命のある音楽だった。個人的な話になるが、特にギタリスト・デイヴのギターは全く驚くべきものだと思う。彼のスタイルはデイヴ・チャンドラーから大きく影響されているけれども、不思議とむしろジャニス・ジョプリンのあの絞り出すような声を思い出させる。深い孤独をたたえた暴力的な音だ。
この"PERMANENT BRAIN DAMAGE"は、1992年に彼らが録音したひとつめのデモをリマスターして、ボーナス・トラックを追加したものだ。5曲目まではオリジナルのデモに収録されていた曲だけれど、曲順をかえて、"Veil
of Blood"が "Scream Bloody Murder"とタイトルを変え、歌詞も新しくなっている。オリジナルを聴いたことがある人はすぐに気が付くと思うけれど、全曲ボーカルは新しく歌い直されている。単に復刻するだけならオリジナルのボーカルでも構わないかもしれないし、それはそれで味があるけれども、作品として考えた場合、ボーカルを取り直した彼らの決断も、音楽に対し妥協をしない実にらしい選択だと思う。ボーナス・トラックについては1995年のラスト・レコーディング作品で、全4部作のインストだ。
聴いてもらえばわかると思うけれど、デモにしてはあまりにも素晴らしい楽曲が並ぶ。曲順を変えて冒頭に深遠なロング・トラックを持ってきたのも、BLOOD
FARMERSというバンドがコンパクトな楽曲を演奏するバンドではないことを伝えている。勿論、"I AM VENGENCE"にも収録された"BULLET
IN MY HEAD"のような短くて素晴らしい曲もある。ただ、ゆっくりと、気怠く、深く沈み込み、目の前に果てしない道を映し出すようなバンドであること。それでいてしっかりとした構成で聴き手を飽きさせないバンドであるということを、オリジナル以上に印象づける。これこそが彼らなのだ。
錯乱しているようなズレを感じさせる奇妙なサイケデリック感覚、60年代後半から70年代初期に到るまでのブリティッシュ・ロックが持っていたドラマティックでありながら、すこしも大仰ではない絶妙のバランス、アメリカという国が持つ自由という言葉と現実の間に生まれた、やり場のない閉塞感。彼らの音楽は70年代っぽいというよりも、あの時代も今も変わらない何かが棲んでいる。美しく、そして歪みに満ちている。

REVIEW
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